よく知ろう!よくわかろう! 社会的養護施設 第三者評価について(実習生必読です)
ご存じですか? 社会的養護施設第三者評価事業について (社会的養護施設は全施設公表が義務となっています)
社会的養護関係施設では、運営の質向上のために、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に基づいて第三者評価や自己評価が行われています。これにより、施設の信頼性と品質が確保されています。児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設などが含まれ、それぞれが異なるニーズに対応しています。
全国共通の評価基準が存在し、これに基づいて評価機関が施設の運営を評価しています。これは公平かつ一貫性を持たせ、質の向上に寄与しています。
施設は定期的に評価を受け、その結果はHP上で公表されています。これにより、利用者や関係者が施設の信頼性や品質を確認でき、施設自体も常に向上心を持って運営に取り組むことが期待されています。
社会的養護関係施設においては、子どもたちが施設を選ぶ仕組みではないため、社会福祉事業者が自主的に第三者評価を受けることが求められます。同時に、被虐待児などの増加や施設運営の質向上の必要性が背景にあり、これに対応する形で第三者評価が義務づけられました。
この評価の義務化に伴い、全国共通の評価基準が原則として設けられ、それに基づく評価機関の認証と評価調査者の研修が、全国社会福祉協議会を通じて行われています。これにより、評価機関が経験を積んで高品質な評価を提供でき、施設の運営の向上に寄与できる仕組みとなっています。
また、都道府県推進組織も独自に評価基準を策定し、認証や研修を行うことが可能とされています。これにより、地域ごとのニーズや状況に合わせて柔軟に対応できるようになっています。
(1)自己評価とは
自己評価とは、組織内の個々のメンバーがあらかじめ設定された基準や目標に基づいて、自分自身を評価するプロセスです。この評価は通常、従業員やメンバーが自らの仕事や成果に対してどれだけ適切かどうかを判断する手段として行われます。
重要なのは、誰が評価を行うかによって、結果が異なる可能性があるという点です。例えば、上司や管理者が評価した場合と、同僚や部下が評価した場合では、評価の焦点や視点が異なることがあります。これにより、異なる視点からのフィードバックが得られ、組織内でのコミュニケーションや改善活動の機会となります。
評価結果の差異は、チームや組織内での議論や話し合いの材料となり、メンバー同士が協力して課題に取り組む契機ともなります。結果的に、自己評価は個人の成長や組織の発展に寄与する重要なツールとなります。
社会的養護関係施設では、自己評価および第三者評価が行われ、その結果はa、b、cの3段階評価で示されます。これにより、施設の運営指針に基づく目指すべき状態(a)、一般的な課題や課題が大きい状態(b、c)を明確に把握し、質の向上に向けた活動を促進します。
- a(目指すべき状態): これは施設運営指針に掲げられた理想的な状態を指します。自己評価や第三者評価において、この評価を得ることが最終目標です。施設が定めた理念や方針に基づいて運営され、高い水準のサービスが提供されている状態を示します。
- b(課題がある状態): これは一般的な課題が見られる状態です。目指すべき状態に至っていないが、多くの施設で共通して発生する問題や課題が評価されます。改善の余地があり、努力次第で目指すべき状態に向けて進展できる状態です。
- c(課題が大きい状態): これはより深刻な課題がある状態を指します。評価結果にcの項目がある場合は、即座に改善活動が必要です。施設が直面する課題が著しく、より緊急の対応が求められる状態です。
評価結果を踏まえ、cの項目がある場合は迅速な改善活動が求められ、bの項目は更なる努力によってaに近づくような取り組みが必要です。この評価体系は、施設の健全な発展と利用者への高品質なサービス提供に向けて、方針を明確にし、スタッフ全体で共有し合う重要なツールとなっています。
(2)第三者評価とは
福祉サービス第三者評価事業は本来、社会福祉事業の事業者が自主的に受ける仕組みでしたが、社会的養護関係施設においては特殊な状況から、子どもたちが施設を選ぶ仕組みがなく、入所に関する規定が存在すること、さらに虐待被害の増加から質の向上が急務であることから、第三者評価を受審し結果を公表することが法的に義務づけられました。
この形式上の義務づけはあるものの、重要なのは各社会的養護関係施設が積極的に第三者評価制度を活用し、社会的養護が必要な子どもたちや母子のために施設運営の質の向上を図ることです。
第三者評価は、施設職員ではない評価調査者が行い、その役割は施設の現状や課題を明らかにし、質の向上を促進することです。違反やペナルティの課せられる場ではなく、むしろ質の向上に焦点を当て、施設職員の気づきや改善の方針を促すものとされています。
評価調査者は専門的な研修を受け、社会的養護の質の向上に貢献し、全国の施設において社会的養護の質を高めることを目指しています。この仕組みを通じて、施設の透明性や品質向上が図られ、子どもたちや利用者に対する安心感が生まれることが期待されます。
(3)自己評価と第三者評価の関係
自己評価と第三者評価は、互いに補完し合う関係にあります。第三者評価を受ける前に、まずは自己評価を行い、その結果をもとにして第三者評価が行われます。
(愛の聖母園では、毎年職員それぞれ7月から8月にかけて、ひとりひとり取り組み、9月に部署毎で検討を行っています。新人職員には、7月に福祉サービス第三者評価事業の評価調査員を有している職員による丁寧な研修を行っています。(*園独自の取組みです)
自己評価は当事者によるものであり、そのためには甘い評価になりやすい一方で、理想を高くし厳しい評価を行うこともあります。また、当事者では気づかない視点や改善の余地があるかもしれません。ここで、第三者評価が登場します。第三者は客観的な立場から施設を評価し、独自の視点を提供します。これにより、自己評価の主観性を補完し、客観的な視点で施設の実態を見ることができます。
第三者の評価が入ることで、施設は新たな課題や改善のポイントを見つけることができ、取り組みの方向性が明確になります。また、第三者評価は外部からの信頼性向上にも寄与します。当事者が気づいていても改善できていない点に焦点を当て、施設全体で質の向上に取り組む契機となります。
自己の評価と第三者評価を組み合わせ、双方の強みを生かすことで、施設はより効果的に質の向上を達成できるようにしていくことはとても大切なのです。
ここまで勉強してくださった方々に・・
愛の聖母園では、過去3度の社会的養護第三者評価受審致しました。
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